防災士フォローアップ研修会

柏崎市では「防災士」の資格取得のための取り組みに力を入れています。昨年は11月に第5期生が誕生し、合わせて200人を超す市民が防災士になっています。ただ資格を取ったからそれで終わりというものではなく、運転免許と同じように活用してはじめてその取得価値があるものです。各町内会で編成している自主防災会に所属し、活動に参加することが求められます。そのためには各町内会の理解と協力体制が整っていなければなりません。防災士が協力したいと思っていても受け入れられないことになってしまいますから。

さて、今日はその防災士のフォローアップ研修会でした。年に2回ほどですが柏崎市が主催して行っています。私は、防災士は最新の知識や技能を習得し、必要としているところへ行けばそこで指導できることを望まれていると考えています。ですから様々な機会を活用してその知識や技能の習得に努力する必要があると思うのです。今日のテーマは「災害に強いコミュニティの育て方」で、長岡技術科学大学の上村靖司先生を講師としたものでした。そこで印象に残っていることを以下に記します。

  • 災害は、「自然の摂理」であり、「専門家や行政は論理を語り」、「人々は心理を語る」ものである。
  • 市民と行政の視点が違うので、行政側が人々の気持ちに寄り添わなければ、かみ合わない議論になったり、ちぐはぐな対策になってしまう。
  • 被害をなくす「防災」から被害を軽減する「減災」、被害から早く抜け出す「縮災」へと言葉を変えて考えている。しかし、「応災」として「反応する(Reaction)」「対応する(Coping)」「適応する(Adaption)」と進ませ、一人一人が主体的に適時・的確に行動していくようにする。
  • 防災に正解はない。正解ではなく、考える材料と正しい判断のよりどころを与えていく。日頃から正解のない問題に向き合い、考え抜く姿勢を養う。
  • 「(災害の)現象」の理解は著しく進展した。今までは「(災害の)現象」の理解と「技術的対策」が重視されてきた。しかし、いくら「対策」を進めても被害は減らないし、適時・的確な情報提供しても避難しないなどの弊害が顕在化してきた。
  • これからは知識や訓練を重視して取り組んできた「防災レシピ」では不十分であり、人や社会の免疫力に働きかける防災、自分の免疫を高めていく「防災ワクチン」の考え方で進めていく必要がある。
  • 肝心な時に役所はあてにならない、と言われている。正しくは、肝心な時に役所をあてにしてはならない、となる。
  • 市民が、「無関心」→「傍観者」→「当事者」→「主体」→「率先者」への変わっていくことで地域防災力が高まっていく。

講師の上村先生は「雪氷工学」を専門としている関係で、雪かきを通して防災を見つめ直していくお話もしてくださいました。今年1月9日からの大雪を経験している柏崎にとっては大変タイムリーな話でした。

上村先生、ありがとうございました。

投稿者: shigeno