新潟市への会派視察

今日は新潟市へ会派視察に行きました。視察項目は、「中学校における休日の部活動地域移行について」です。教育委員会で説明を受けた後、実際の現場である中学校を視察しました。その中学校が東石山中学校だったのですが、実はこの東石山中学校は私が教員生活を開始した新採用の学校でした。視察で伺ったのですが、つい当時、と言ってももう40年も経っているのですが、を思い出してしまいました。以下、視察で説明を受けたことの抜粋です。

<教育委員会>

①休日の部活動地域移行の方針とその方針決定の経緯について

→ 部活動は教育委員会の所管だが、地域でどうスポーツや芸術を支えていくかを考えた時、教育委員会だけで取り組むことではない。教育委員会と連携をすることはもちろんだが、地域活動の支援と合わせて取り組む必要がある。新潟市では市長部局の中に文化スポーツ部があり、その中にスポーツ振興課と文化政策課がある。そこと教育委員会とが連携している。文科省では中学校の部活動を休日に地域移行するという例が示されているが、その逆の平日を地域で休日を学校でやることをやってもいいし、平日と休日も一緒にセットで地域でやってもいい、としている。新潟市では休日も平日もセットとして考えている。セットで考える理由は、休日の大会などへの参加の時、学校の顧問と地域の指導者がいる場合、子どもたちが混乱したり指導する側もどっちつかずのような不都合が生じることが考えられることと、休日の地域移行が定着するために一山越え、次は平日の地域移行としてもう一山越える必要があり、文科省は休日も平日も地域平行していくことを最終的に目指していることからすると、セットで取り組んだ方が望ましいと考えた。令和8年度からは休日の部活動はやらない、平日はやってもいいしやらなくてもいい。やる場合は16:45までの間で行うこととする、という通知を新潟市は令和5年6月16日に出した。部活動を含め、様々な学校の教育活動を教職員の勤務時間の中で終わるように計画的に行うように指導している。

②令和8年度の完全実施に向けての進捗状況と課題について

→ 部活動がなくなると、スポーツ等でやりたいことがある子どもにとって不都合がないように、子どもが住んでいる各地域で、どこでどんな団体があるのかという、「団体リスト」をつくっている。地区ごと、種目ごとでも検索できるようになっている。クラブチームだけでなく、所定の要件を満たしている団体であれば登録できる。今まであった団体だけでなく、保護者や地域が立ち上げた団体も登録できる。この団体は新潟市や教育委員会が認定するというものではない。この登録団体がすべて中体連の大会に出場できるというわけではない。どの団体が中体連の大会に出場できるかは別のサイト(中体連のサイト)に掲載してある。この「団体リスト」は現在進行形で増えている。令和8年度には、部活動が休日はなくなり平日は16:45以降には学校の敷地内に生徒はいなくなる予定。学校の教育活動もその時間で完了させるので、生徒がいなくなる。学習の活動も含められる。スクールバス利用者への対応が課題。17:00~19:00までの学校施設の利用は「ジュニア専用枠」として地域活動・クラブのチームに開放していく。地域の団体の活動の補助として、指導者謝金の2分の1を市が補助する支援事業を今年度から始めた。対象は非営利団体。申請をしてもらった後に認めていく。

③新潟市における教職員が地域クラブ等に従事することの兼職兼業について

→ 教職員の兼職兼業については、退勤時間後にボランティア(無報酬)でクラブの指導に当たることについては届け出も必要がない。平日謝金を得たり、休日指導者謝金を得る場合は、校長を通じ学校人事課に願いを出してもらい、承認されれば認めている。昨年度は50~60人いた。県と新潟市の扱いは違っている。兼職兼業は県も認めているが、県は時間の制限を設けている。在校時間とクラブでの指導時間を合わせて月60(?)時間までという制限。新潟市はその時間制限はない。

④令和8年度以降の平日の部活動の在り方の方針および課題について

→ 長期休業中は、国や市のガイドラインに示されていることと同じく、平日2時間、休日3時間の活動とする。練習試合や大会への参加についてはガイドラインには触れられていない。ただ、試合などで時間を超過した場合は、以降の活動を休むとかの調整を行うようにしてほしいとしている。土日の大会への参加がどうなるかは、市町村によって対応が異なっている。県としても令和8年度以降は休日の部活動はなしとしているので、教員が引率して出場するということはできないという状況。学校単位で参加できないことになるため、土日の中体連大会には地域のクラブからしか出しませんと決めている市町村もある。令和8年度までは土日の大会の引率についてはどうするかは新潟市としては未定。土日の部活動手当は来年度までは出す(3時間までは2700円)。令和8年度以降は休日の部活動はないことになるので、部活動手当も発生しなくなる。新潟市として令和8年度以降の休日の中体連の大会への参加は中学校名での参加をどうするかはまだ詰めていない。長岡や糸魚川では地域のクラブチームに所属しなければ参加できないとしていくようだ。

<東石山中学校>

①学校区における休日の部活動地域移行の現状について

→ 部活動の地域移行については令和5年度に生徒・保護者(令和6年度入学生とその保護者を含む)に考え方等を説明。今年度から先行実施の計画で準備を進めてきた。最初は令和6年度初めからスタートの予定であったが、準備等も考慮して6月の地区大会終了のタイミングでスタートができるように準備。早くスタートできるところは準備できしだいスタートしてかまわないこととした。対象の部(クラブ)でほぼ順調にスタートしている。

②休日の部活動地域移行への課題について

→ 保護者会が運営主体となって行う方式であるため、そのことの理解と協力に向けた意識の醸成が課題であった。しかし、いざ始める段階になり、各クラブ保護者会も自分事として動くようになっている。保護者の中に仕事等の関係で見守りが難しい人もいる。クラブによって、専門の指導者が見つかっていないところがある。

③現在の平日の部活動の実施状況について

→ 新潟市部活動ガイドラインに則り、平日で1日、休日で1日の休止日を確保して行っている。帰りの会終了後、17時15分までを部活動の時間として活動。延長を希望する部活動については30分の延長を認め、17時45分活動終了、18時下校。

④令和8年度以降の部活動の在り方について

→ 市の方針として、令和8年度以降の部活動については、休日は実施しないこと、平日は勤務時間内であれば実施可能であること、の2点が示されている。当校では、現段階では令和8年度以降も部活動は継続する。休日は地域クラブに完全に移行した形で活動。平日は勤務時間終了までは部活動として、その後は地域クラブ活動として行う。勤務時間後の活動がクラブ保護者会主体で行うことになるためその時間から見守りにつくことが 困難であるという課題がある。今後、対応を協議していく。

以下は所感です。

<教育委員会>まずは、中学校における休日の部活動地域移行という言葉だけでとらえ、教育、特に学校教育関係だけで取組を進めていくという考え方ではなく、「まちづくり」の一環としての地域活動、あるいは企業などの産業界を巻き込んだ活動としてとらえていく必要があると考える。今のところ、柏崎市ではこの文字通りの「休日」の部活動地域移行ということで取組を進めているが、文部科学省が最終的に求めているところが平日も部活動を地域移行していく、ということであるのだから、新潟市と同様に今のうちから、「休日と平日をセット」で考えて、環境整備を進めることが望ましいと考える。 意識として、教職員の兼職兼業への取組、保護者としての部活動は学校に任せているものではないということ、その活動に参加するには費用がかかること、などを変えていくための啓発活動の必要性を感じる。同時に、あと1年半後には実施しなければならないことであるから、来年度令和7年度にモデル校として、実際に休日の部活動をやらないところや、平日も勤務時間以降の教育活動をやらないところを実際に設けてみることも必要だと考える。 いずれにしても、今は新しいシステムを始める時なので、多少強引でもトップダウンで半ば強制的に行うことが必要だと考える。この地域移行について、市としての覚悟を見せてもらいたい。そのために、視察等で学んできた情報などをもとにした当局への働きかけを行っていきたい。

<東石山中学校>この中学校における休日の部活動地域移行については教育委員会もさることながら、各学校の校長の思いや指導力が大きいということがよく分かった。そしてこの取組は教職員の働き方改革のため、学校が行うべきこととそうでないことの明確化のため、ということが主なねらいだと感じた。部活動を学校から話すことを手っ取り早く行うためには、学校では部活動をやりませんと宣言し、やりたい人は地域のクラブチームに所属してください、とすれば簡単なのかもしれない。しかし、すべての子どもたちの思いをくみ取るためには、それなりに学校としてその地域への働きかけが必要不可欠であることも分かった。つまり、保護者会としての活動も認めていくような。柏崎市も新潟市の中心部のように様々なクラブチームが存在しているわけではないため、地域や保護者の意識が成熟するまでは、東石山方式を取り入れることはいいことだと思った。 また、新潟市のような「団体リスト」をつくり、そこに通うことによって技術を身に付け、より高いレベルを目指す人、仲間と楽しくスポーツや文化活動に取り組みたい人それぞれに対応できるように、見える化していくことが大切だと思う。教育委員会をはじめとする行政当局と実際に子ども・保護者・地域に対応している学校現場との立場を理解しながら、国の方針に従い、同一方向で進めていくために、第三の視点としての議員の立場で、当局に適切に働きかけられるように調査研究を継続していきたい。

視察を受け入れてくださった新潟市教育委員会、東石山中学校の皆様、ありがとうございました。

投稿者: shigeno_masaki