柏崎市には350社ほどのものづくりの中小事業所があります。しかし、柏崎市には完成品を作り上げている、いわゆるメーカーがほとんどありません。大企業が作る完成した製品の部品を作っているところがほとんどです。ですから、その完成品を見てもどこに使われているものかがよく分かりません。その点、同じものづくりといわれている燕や三条とは違っています。そこでは洋食器とか爪切りとか、完成品そのものをつくっているのですから。はたから見ると、こういうものづくりってどう見えているのでしょうか。その部品が精度が高く、優れていたとしても完成した製品とは違い、あまり注目されることはないのではないでしょうか。ここが柏崎のウィークポイントなのかもしれません。つまり、ものすごくこだわり、精度を高くし、個別の注文にも対応して部品を作っていることをもっと上手にアピールしなければ、完成品を作っているところには対抗できないのではと思うのです。そんなことはみんなが分かっていることなのでしょうが、なかなかいい解決策が見つけられない現状にあります。
さて、今日はそのものづくり企業の中の「山崎工業」を視察させていただきました。企業案内にあるように、「手のひらサイズ以下の小さなプレス部品に特化した技術開発型企業」です。プレス加工は金属板を金型にはめ、大きな圧力により変形させて形を形成されるものです。これまでは金属の塊から削り出して作っていたものをプレスによってより簡単に、より正確に量産できるようになりました。山崎工業では、この金型を設計するところからプレス加工するまでの全ての行程を自社で行っています。つまり、特殊な部品でも、試作品のための部品でも確実に対応できるのです。現在は160人以上の社員がいますが、その離職率(定年を含めて)が5%ほどとのことでした。これはすごい数値です。社長曰く、ボタンを押すだけの仕事ではなく、1つの機械をメンテナンスも含めて一人で責任をもって管理・作業できるようにしている。それが人材育成につながり、社員のモチベーションにつながっている、とのことでした。従業員一人一人が自分の存在感を感じながら日々の仕事に取り組んでいるのです。素晴らしいことだと思います。
今柏崎では、山崎工業のように若い社長のもと、これまでにないアイディアを実現させながら、自社だけでなく、柏崎全体のものづくりを向上させていこうとしている気概を持っている企業がたくさんあります。その中の10社ほどが集まり、柏崎工業界の魅力を新潟県内外に発信しようと、オリジナルアニメ「とびだせ!柏崎2~決戦!工業都市編~」を制作し、注目を集めています(youtubeはこちらから )。私としても、少しでも応援できればいいと考えています。山崎徹社長、今日はありがとうございました。