破戒

映画「破戒」を見ました。この映画は題名だけ見ると何かを壊したり、あるいはテロに関することを想像してしまいますが、そういう内容ではありません。自分の中にある被差別への思いを破壊していき、カミングアウトするというものです。日本には産まれた地域や場所により産まれながらに差別を受ける同和問題が存在します。現在の人の中には、もう同和問題は過去のもので今は存在していないと主張する方々もいますが、私はそうは思いません。今では生まれた地域によっていわれもない差別を受けるなんてナンセンスであり得ない、と頭の中では簡単に考えられることだと思いますが、人の心の中はそんなに簡単ではないようです。実際に全国ではこの同和問題で苦しんでいる方々が少なくありませんし、柏崎市内にも同和地区というものは点在していたと言われ、平成の時代になっても年配の方がいる家庭ではその話題も出ていたとのことです。

この「破壊」の原作は島崎藤村が書いたものです。私はその原作は読んではいませんので、映画で描かれているものがそのまま原作というものではないのかもしれませんが、同和問題を考える導入としてはそれなりに意味のあるものだと思いました。

人権問題がいたるところで出ているこんにち。柏崎市でも人権については重きを置いて市政の運営に当たっています。当然のことではあります。しかし、人間の本能とまではいいませんが、自分の心の安定を図るために、自分の心を守るために、周りの人を自分より下に見るつまり差別してしまうことはあるのかもしれません。昔から自分より身分が低い人がいるとか、自分より貧しい人がいるとか、そういう存在を自分の中に創り出すことで今の生活や気持ちを保とうとすることはあったのではないかと想像するのです。差別する側、今でいうところのいじめる側の人は自分ではそんな意識はない、とよく言いますが、人の振る舞いや言葉のはしはしからにじみ出てくることを、差別される側、いじめられる側の人は敏感に察知するものです。・・・なんかおかしなことを書いてしまいましたが、同和問題や人権に関することには大きな問題意識を持っています。こういうことを語り合うことが少なくなっている現在ではありますが、皆さん一人一人の心の中にはきっとこの人権について語りたいという欲求があるのではないかと思います。人を説得するとか自分の主張を押し付けるとかそういうことはありませんので、語り合いたいと思っている方はご連絡ください。一緒に考えていきませんか。

投稿者: shigeno