鳥獣被害の現状と対策

今日は長岡技術科学大学准教授で環境省鳥獣保護管理プランナーの山本麻希先生による標記の講演を聞きました。これは同じ柏崎市議会の会派柏崎の風さん主催の研修に参加させていただいたものです。山本先生はチームを組んで、新潟県内の特に上越地区で鳥獣被害の調査をし、それをもとに被害が発生、拡大しないような対策を施しています。今日の研修では主に「イノシシ」対策についてでしたが、それ以外に「アライグマ」の被害が拡大しているという話に衝撃を受けました。印象に残っていることを以下に記します。

  • イノシシの被害は新潟県内で、一昨年は5000万円、昨年が1億円であった。その99%が水稲の被害。
  • イノシシは川を伝って移動する。「ぬたうち」という水場で体に泥をこすりつける行為をするため、それを田の中でしたり、田の中を通ったりするだけでそこの稲は出荷できなくなる。においがつく。
  • 稲を食べたり通ったりして出荷できなくなる被害だけでなく、穴を掘るので、畔を掘り返される被害も大きい。この畔を修繕する補助金はどこからもないから、市単独でも考えていいのではないか。
  • 被害対策は、1「被害防除」、2「個体数管理」、3「生息地管理」が大切。
  • 「被害対策」は、電気柵や音や光で農地に近づけないようにして被害を抑えること。電気柵はその管理が大切で、草刈りなどだけでなく、3段柵、下から15センチ、15センチ、20センチ間隔にすることを推奨している。
  • 全国では毎年およそ60万頭のイノシシが駆除されている、一番大きのは福島県と長崎県でおよそ3万頭、新潟県は0.4万頭。農林省・環境省の目標は年間68万頭。
  • 捕獲や駆除するにしても猪のこども(うりぼう)を獲るだけではイノシシの数は減らない。イノシシは年間で1.6倍ずつ増加している計算になる。
  • イノシシ被害対策としての優先順位は、1「電気柵」、1「柿と栗の伐採」、3「緩衝帯の整備」。
  • 最近はアライグマの被害が拡大している。アライグマは特定外来生物なので、根絶を目標に駆除していかなければならない。糸魚川や上越にはすでに生息しているので柏崎にもいると考えられる。まずは市民への啓発が大切。

今、柏崎市でもこのイノシシ被害を他人事ではなく当事者として本気で取り組んでいます。イノシシの被害や危険性を理解していない人は、かわいいとか駆除するのは可哀そうという気持からか餌付けをしたりすることがあると聞きます。絶対に行ってはいけないことです。農作物の被害だけでなく人への被害が出てくる危険性があるわけですから、その前に何とかしていけるように考えていきたいと思います。こういうことこそ一部の自治体だけの取り組みで解決するものではありません。広域で取り組むために必要な環境が整っていくことを期待します。

今日の講師の山本先生はご自身が調査研究、そして対策行動の第一線で活動しています。それだからこそ聞いている私たちに危機感を抱かせてくださいました。市民一人一人の危機感、当事者意識がまず醸成されることにより、対策が進んでいくと思います。今日の講習で受けた感覚を私の周りの人にも広げていきたいと思います。山本先生、ありがとうございました。

投稿者: shigeno