市教育センター研修(放射線教育)

教職員向けの行われている柏崎市教育センター研修の講座のいくつかに参加させてもらっています。今年度も年間計画に沿って講座に申し込み、これまでにのこのサイトで紹介した通り参加させてもらいました。今日はその研修の「小学校放射線教育」の講座でした。この「放射線教育」の研修ではこれまで、教職員を対象として授業の構成を模擬授業として学んだことはありましたが、実際に小学生に対して授業を行っているところを参観したのは初めてでした。今日の授業は北条小学校5年生10人に対して、柏崎原子力広報センターの舟生武司放射線アドバイザーが行ったものです。それも、オンライン授業でした。児童はモニターに映っている舟生講師と会話を交わしながら学んでいました。放射線教育としての授業内容もさることながら、実際のオンラインでの授業も見どころありました。

さて、授業の最初にこんな質問がありました。「放射線」についてどんなイメージをもっていますか? 具体的なイメージというのではなく、「良いイメージ」「悪いイメージ」という感覚で手を挙げてもらっていました。児童たちの結果は、「良いイメージ」が1人、「悪いイメージ」が9人でした。悪いイメージをもっている児童の理由は、「たくさん浴びると悪い」「福島の事故」というものでした。10人の児童ですが、90%が「悪い」イメージをもっているということです。あとで舟生講師も、どこでも大体このくらいの割合になっているとのことでした。「悪い」イメージが強いことからなのか、講師は続いて「いい部分を引き出すのが人間です」と話し、授業を進めました。

授業では、放射線の種類、特徴などを学んだあと、実験として放射線が自然界にもあることを霧箱を使って確かめました。次に、放射線測定器(ベータちゃん)を使って物質(マントル、湯の花、乾燥コンブ、御影石など)の放射線を測定しました。そして、放射線がどんなところに使われているか、いかに人間の生活を便利にしているかなどを説明しました。この時点で児童は全員が放射線の「良さ」を理解していました。しかしこのままで授業は終わりませんでした。授業後舟生講師も話していましたが、あくまで子どもたちには中立性を確実に伝えなければならない、とのことで、「便利だけど…危ない、危ないけど…便利」「正しい知識を身に付け、自分で考え行動できるようにしましょう」と、いい面と悪い面があることを強調しました。

原子力を手放すことは宇宙開発を行わないことにつながる、とも言われていますし、原子力と人類は共存できない、と言う方もいます。そんな中、教育現場では当然のことながら偏った指導はご法度です。様々な面において「中立性」を確保し保障する必要があります。そして、子どもたち自身が自分の責任において物事を決め、実行に移していくことを指導することになります。そこには実際に子どもたちと対面して指導する教員の思想や主義主張がはっきりと見えてしまうことがあってはいけないと思います。だからといって教員自身がこの原子力に対しての主義主張をもってはいけないということではありません。私が教員だったころも、政治や宗教などに関して一方的な主義主張に方向づけた指導を行うことは禁止されていました。教員はプロですから、子どもたちに対する偏った指導などは学校現場で絶対に行われていないと思います。

最後は変な話になってしまいましたが、今日の研修は子どもたちの表情も見え、発達段階にそった適切な言葉で指導することなど大変勉強になりました。講師の舟生先生、ありがとございました。

投稿者: shigeno