北海道での視察

27日から29日までの日程で北海道に視察に行きました。4つの会派による合同の視察です。以下のような行程でした。

  • <1日目 7月27日>
  • 新潟空港 → 新千歳空港 → 苫小牧CCS実証試験センター → NUMO勉強会 → 千歳で宿泊
  • <2日目 7月28日>
  • 新千歳空港 → 稚内空港 → 幌延(ほろのべ)深地層研究センター → 稚内空港 → 新千歳空港 → 千歳で宿泊
  • <3日目 7月29日>
  • 札幌市民防災センター → 新千歳空港 → 新潟空港

このような行程で4か所の視察を行いました。新潟からだと飛行機は仕方ないのですが、同じ北海道内でも飛行機移動が必要なところにまで行きました。飛行場や宿から各視察場所への移動はレンタカー(バス)で行ったのですが、その移動距離がすごかった。さすが北海道でした。以下はそれぞれの視察の所感等です。

<苫小牧CCS実証試験センター>

CCSとは、簡単に言うと、排出されたCO2を地層に埋めるものです。期待を地面に埋める?って思いますが、砂岩層に圧入することにより岩石の中にCO2を蓄えるようにすることのようです。砂岩は気体を圧入するとその岩石の中に期待を蓄えられる性質があるとのことです。当然、その砂岩層の上には気体を通さない泥岩層があるような部分を選んで行っています。世界的にCO2の排出については規制がかかっていたり、脱炭素社会を目指すためにはこのCCSの技術開発は必要なことだと思います。柏崎市でも藤井で試験を行おうとしています。CCSだけではなく、CCUSとして埋め戻したCO2を活用していこうとする技術の開発も進めようとしています。ここ苫小牧試験センターでは、30万トンのCO2を地層に貯留するという一応の目的を達したということで試験は終了しました。ただ、試験で使用した施設はこのまま解体するのはもったいないのか、次に活用できるように今は決定が下されるまでの期間、待機しているとのことでした。苫小牧では、海岸に近いところ、視察した施設ですが、でCO2の圧入口を設置しています。ここから地下1000~3000mまで斜めに掘り、海底の地層部分に貯留することになります。海底部分の開発ということにもなりますが、苫小牧では漁協も協力的であるとのことでした。まちをあげて支援しているのです。この説明の中には「超臨界」という言葉が出てきました。CO2に関しての超臨界です。詳しくは記しませんが、私としてはこういうところに食いついてしまいます。

<NUMOの勉強会>

NUMOとは原子力発電環境整備機構のことす。国の法律に基づき設立された団体で、原子力発電で使い終わった高レベル放射性廃棄物の地層処分事業を主体としています。地層処分の文献調査に手を挙げた自治体の方々との対話活動を進めることを最も重要な役割の一つ世位置付けています。現在日本では、この地層処分の文献調査に2つの自治体が手を上げています。いずれも北海道で、寿都(すっつ)町と神恵内(かみえない)村です。この2か所でNUMOは住民説明会を行っています。この地層処分がいいことなのかそうではないのかを示すものではなく、中立的な立場で対話を行っているとのことです。最終的には住民に判断してもらうものとしています。ただ、北海道では、道の条例として使用済み核燃料の処分を行うことは認めていませんので、基礎自治体だけの判断で進めることに矛盾が生じます。今後に注視したいと思います。ちなみに、文献調査に2年程度かかり、その後概要調査に4年程度かけ、精密調査を14年程度かけて施設先決を決めていく流れになります。文献調査を受けると2年間で最大20億円、概要調査では4年間で最大70億円の電源立地交付金が受けられることになります。原子力発電を行うと必ず使用済み核燃料が生じます。それをどう処理していくのか、決まっていません。最初の発電で発生した使用済み核燃料の95%がリサイクルできるといいますが、それが活用できたとしても5%は確実に処理していかないといけなくなります。電力不足が叫ばれており、同時に脱炭素を進めるとなると原子力必須になるのかもしれませんが、同時に使用済み核燃料の処分をどうするのかをなるのかもしれませんが、同時に使用済み核燃料の処分をどうするのかを考えなければなりません。この地層処分は柏崎としても他人事ではないのです。

<幌延深地層研究センター>

前日NUMO勉強会で使用済み核燃料の地層処分について学んだことを実際に問題が発生しないのかなどの研究をしているのが、この幌延深地層研究センターです。ここでは地下350mまで掘り、そこに使用済み核燃料をガラス固化体にしたものが問題なく保管できるのかを調査しています。平成13年3月に調査研究をはじめ、令和10年度をもって研究を終了する予定です。国内ではここ幌延だけでなく、滋賀の瑞浪、茨城の東海村でも同様の調査研究を行っていました。この調査では実際に使用済み核燃料のガラス固化体を持ち込むのではありませんが、埋めたときに受ける圧力に対応できているのかなどを机上の計算ではなく実際に実験しているのです。幌延のセンターでは来年度からさらに150m深く掘り、最大500mの深さでの研究を進めるとのことです。今回の視察のメインがこの幌延深地層研究センターでした。ここで見せていただいたガラス固化体の模型や掘削の様子、研究の様子など日本の技術の高さを改めて認識するものでした。当然、そこで働いている方々の意識の高さなども感じました。70人の職員のうち40人が研究者ということでした。更なる技術開発のために頑張ってほしいと思います。

<札幌市民防災センター>

柏崎には防災センターはありません。中越沖地震を体験し、原子力発電所もある地域ですから、市民の意識を高めるためにもあっていい施設だと思います。それはそうと、札幌防災センターでは、地震体験、消火器体験、煙体験、防風体験などができますし、3Dで水害も体験できます。1か所でこれだけの体験活動ができる施設は新潟県にはないのではないかと思います。言葉や写真などで知識として学ぶ防災学習も必要ですが、それ以上に実際に地震の振動、強い風、煙の中での行動が体験できるのなら、それまでの知識がストンと自分の中に落ちていき、自分事としての防災につながるはずです。私たちが体験しているときにも地元の小学生が学習に来ていました。小学生のうちから防災に対する意識を高めるためにも効果的な施設だと思いました。

ここに記した4か所の視察でした。久しぶりに飛行機に4回も乗ることができましたし、北海道ならではのことも見れました。市場には、さくらんぼがまだ売っていました。さくらんぼとスイカとメロンが一緒に店頭に並んでいるところは北海道くらいではないでしょうか。実は私、初めての北海道だったのです。60歳にして立つ、北の大地でした。北海道でなければ学べないことが多く、今回の視察は大変有意義なものでした。ここで学んだことが直接柏崎に活用できるものだとはいえませんが、国として進めていること、技術として開発が進んでいるもの、それらの方向性など、柏崎がこれからも選ばれる自治体であるために備えておくことがどういうことなのかが見えてきました。私としては、学んだことを市民に伝え、かといってそれが正しい方向だとか、そう進むべきだとか、いうのではなく、情報として提供し、判断は聞いた市民が行うNUMO的な取り組みを行っていきたいと思います。

今回の視察は議員13人で行ってきました。正直、疲労もあります。しかも、8月3日~5日、8日~10日と2泊3日の県外行政視察が2回あるので、身体がもつのかの心配があります。しかし、気持ちをしっかり持ち、自分自身のためというより柏崎の発展のために学び、活動に活かしていきたいと思います。

投稿者: shigeno