市教育センター研修(人材育成)

今はどんな組織においてもこの人材育成は大きな課題となっています。「人財」と表現するところもあるようです。経済的な視点で見ても、コストパフォーマンスを上げるということからも、一つの行程における取り組みに対する時間と完成度は大切だからです。

今日は教育センター研修としての「人材育成講座」を受講させてもらいました。教育界における人材育成は、モノづくりの業界と異なった面が少なくありません。社会の構成員となる人(子ども)を育てる人(教員)を育成していく、ということですから。

よく言われることですが、教育の取り組みに対する成果(結果)はすぐには出ません。子どもたちを指導した結果は数年あるいは10年以上の年月を経て現れるものだと考えます。しかも、その成果を出すためには多くの場面で、多くの指導者あるいは家族や地域が関わらなければならないものです。モノづくりのように一人の人が原料から製品をつくったり、一つの工場内で完成品まで製作したり、つくり始めてから数日あるいは1年くらいで完成させられるものではないからです。そのため、教育における「評価」が大変難しいものだと思います。何を「規準」とし、どの程度の「基準」を設定するのかです。それは学習指導要領や教育基本法に示されているところだと思いますが、それぞれの子どもが生活している環境、家庭の方針、何よりもその子どもの意志によって、何をもってそれらの「規準・基準」が達成できたのかはそれこそ一定のもので図れるものではありません。学校においては子どもに必要な知識や技能、思考や表現力、あるいは物事に前向きに取り組もうとする姿勢などを身に付けるための指導は必要です。

それはそうと、子どもに対する指導法については今回の研修とは別のことになります。今日は子どもたちへの指導もさることながら、学校という組織を動かしていくための「人材」をいかに育てていくのか、という研修でした。るる書いてきましたが、教員は子どもの指導をしていればいいというわけではないのです。一人の指導者が一人の子どもの全てを指導するものではありませんし、できることではありません。小学校・中学校にいる間に、「組織」として子どもに関わり、その組織を適切に動かしていく人材をどう育てていくか、ということが今日の研修でした。

どんな仕事でも若いうち、初めのうちは目の前にあることだけで精一杯になります。与えられたことをこなすことで精一杯かもしれません。教員も同じです。若いうちは学習指導、学級経営、あるいは部活指導のことで精一杯。目の前の子どものことだけに集中してしまいます。少し余裕ができてくると、子どもの保護者のこと、他のクラスや学年の子どものことに目が行きます。そして中堅といわれる頃になると、子どもたちを指導している教員の姿に目が行きます。組織として子どもたちにどう向き合っていった方がいいのかを考えられるようになります。そしてリーダーとしての管理職になると、直接子どもたちへの指導場面は少なくなり、教員や地域、他の学校や教育委員会との交渉などに移っていくことになります。このように立場により同じ教員とはいえ見る景色が違っていることを自覚させ、より高い視点で物事を見ていけるような人を育てていくことが必要になってくるということです。

今日の研修はほとんど学校の管理職の方々でした。管理職として、所属の教員から尊敬されるような人であることはもちろんですし、自分と同じ視点に立てるような人材を学校の中にできるだけ多く育てていってほしいと思います。

投稿者: shigeno