小中学校の統廃合

柏崎市には現在11の中学校と20の小学校があります。人口8万人の自治体としての学校数としては多いと思われます。しかし、市の面積が442平方キロメートルもあるのですから仕方がないのかもしれません。

私が議員になってからは小中学校の統廃合はなかなか言葉に出しずらいところがありました。その中、高柳中学校と第五中学校が2020年度に統合されました。高柳地区の人口減が著しく、地元も中学校の統合はやむを得ないという気持だったと思われます。2020年2月定例会議で私は一般質問としてこの小中学校の統廃合の方向について質問したことがあります。それまでは公共施設の再編成についての質問は交わされていましたが、私の質問を皮切りに小中学校の統廃合の議論が交わされるようになったと感じます。そして昨年から「学区等審議会」を立ち上げる準備を進めるように教育委員会内にプロジェクトチームを編成するなど、小中学校の統廃合が着々と進んできていました。

今日の文教厚生常任委員協議会で、小中学校の再編の方針が報告されました。これはプロジェクトチーム内で検討されたもので、今後地元との意見交換を経て、来年度立ち上がる学区等審議会に諮問されるとのことです。つまり、今日説明された内容は最速のスピードで行うとすればという仮定も含まれているようで、これがそのまま実施されるというものではなく、意見交換等を行った後に決まるものということです。

といっても、そこには令和6年(2024年)度に統合すると示されている学校が記されています。いくら今後の意見交換で変更されることもあるとはいえ、これが公表されれば市としてはこの案通りに推し進めると解釈されます。2月5日に発行される「広報かしわざき」に載るとのことです。その令和6年(2024年)度に統合する学校として記されているところは、高柳小学校と鯖石小学校、第五中学校と東中学校です。今の小学3年生と小学6年生がそれぞれ小学校、中学校の最高学年になるときに統合することになります。このスケジュールでは早すぎませんか?

この資料で私が再考が必要だと思ったことが2つありました。1つ目は、高柳地区の住民、子どもの気持ちです。2020年度に高柳中学校が第五中学校に統合されました。そして2024年度にはまた東中学校に統合されます。5年の間に2回も統合を経験する地区などありません。しかも、中学校が統合され地区に無くなるとき、市長は「小学校は残す」と明言したとのことで、地元はそれならと納得したと聞いています。その思いはあっけなく果たされないことになります。加えて、第五中学校は新校舎ができてまだ3年ほどしかたっていない学校です。この校舎も学校としては使わないことになるのです、2つ目は、この資料に「部活動を持続可能な運営体制とするため、中学校の再編を先行します」と記されていることです。「部活動」の重要性は私も理解します。しかし、部活動は教育課程外のものです。そして国の流れとしても、部活動は社会体育への移行が進められているものと理解しています。その部活動の受け皿としての社会体育の組織を強化しているというのではなく、学校の体制を考えて統廃合を進めていく、というのは適切な方向とは言えず、公表資料に記す内容ではないと思うのです。結果的に部活動が学校として編成、取り組みやすくなることはあるでしょうが、部活動の体制が第一優先ではないはずです。

こういうことを考えるとどうしても、この案の作成にあたって市民の声を聞いていないのではないかという疑問が生じてしまいます。高柳の方々と話し合ったのでしょうか、部活動に所属しようと思っていない保護者の気持ちを受け止める機会があったのでしょうか。もしそういうことを行っていないとすれば、ただの数字合わせになっているような提案と言われても仕方ないような気がします。

私も小中学校の統廃合は必要なことで、しかも早めの実施が必要だと考えている一人です。そういう気持があったので2020年2月定例会議の一般質問に至ったのです。今から2年前です。そこで話したことは十日町市での中学校の統廃合の進め方についてでした。十日町では中学校を半数にしていくというもので、10年をかけて進めていくというものでしたが、行政主導ということもありなかなか住民の納得が得られないとのことでした。そういう話をしたところ、市当局からは決して行政主導で進めることはしない、という旨の答弁もいただきました。・・・しかし、今日の説明になっています。

具体的な児童生徒数、統合の時期、学校名を出すことで市民も逼迫している状況を感じられ、小中学校の統廃合をスピード感をもって進められる、ということなのかもしれません。こういう進め方にも一定程度理解できます。このことで市民を土俵に上げることもできると思います。でも、先ほども記しましたが、学校がなくなる地域へは丁寧な説明を事前に行っているのでしょうか。それがなかなか伝わってきていない感もあります。今日から統廃合を行う地元には説明を行うとしていますが、学校がなくなく地域住民がその説明会で初めてこの事実を知ることになるとしたら問題だと思います。それこそ行政主導であって、行政が考えるとおりに進めます、と半ば強要しているようなことと受け取られかねません。

これからの地元説明会などの状況を見守り、最終的な落としどころを確認していきたいと思います。

投稿者: shigeno